初期のマレット型パターは、そのカラーリングから「セブラ」、また形状から「カマボコ」の愛称で呼ばれ、一部の愛好家からの支持を受けた異型のパターでした。
その後、「3ボール」と呼ばれる新型(ネオ)マレットが登場したことで、その性能からパターの主流の座をつかむこととなります。
いまも進化を続けているマレット型パターのなかでおすすめの品をご紹介し、またメリットと選び方について解説していきます。
マレット型パターのメリット
初期型のカマボコタイプは、振り子をイメージしたシンプルなストロークが基本です。
トップの位置で脱力をイメージすると、重いヘッドは弧を描いてボールを打ち出し、シンプルなストロークができます。
長尺パターでこのストロークを応用すると、ゴルファーの難病と言われるイップスが改善されるほど効果があったわけです。
ところが近年の高速化したグリーンでは繊細なタッチが求められるため、カマボコの後部を削って軽量化した進化系のマレット型パターがゴルフ界の主流となっています。
ターゲットラインに対して容易にスクエアなセットができる幅広フェースや、迷いなくテークバックができるよう後部にブレードがつけたことで、同時に軽量化が必要となったわけです。
進化を重ねたことでパターの性能は向上してきますが、技量以上の効果が生まれるということでルールによって規制を受けることとなります。
3ボールはシールタイプの2ボールに、シンプルな振り子打法を最大限に謳歌できるアンカリング打法を違反とし、さらに外径サイズの規制を設けることになります。
ルールで規制するということは、裏返すとマレット型パターは「簡単」「入りやすい」と委員会が認めわけですが、ルールに適合するもののなかから自分に合ったパターを見つけることができれば、いまよりもスコアアップが期待できるはずです。
マレット型パターの選び方
パター選びの基本は、自分の構え方や打ち方に合っているものを探すことです。
その上でマレット型パターを選ぶときは、「しっかりした打感」が重要なポイントになります。
まずは自分のアドレスを確認しましょう。
身長や前傾姿勢によって変わるグリップの位置、両肘を真っ直ぐに伸ばして両肩とグリップでできた3角形のフォームと、両肩と両肘とグリップで作る5角形のフォームでは、それぞれにシャフトの長さや傾きが変わります。
マレット型パターのストロークは2種類あります。
振り子をイメージしたペンデュラムストロークのときは、ヘッドの重さを感じられるカマボコ型が向いています。
ヘッドをスライドさせるパッティングでは、軌道をサポートするブレードがついている進化形マレット型が向いています。
なお「使い勝手」として考えると、キャディバッグのなかに大型ヘッドのパターを同胞すると他のクラブに傷がつくとか、セルフプレーが多い場合にはパッティングのときにヘッドカバーが邪魔になって気になることがあるので、さまざまな場面を想定して選ぶことが大切です。
マレット型パターおすすめ12選
【ODYSSEY】ホワイトホット・プロ ブラック ROSSIE
根強い人気を誇るオーソドックスなマレット型パターです。
バックフェースをなくソール部分だけがマレット型をしているので、しっかり打っても飛び出す心配はなく、ユーザーからは「つかまりの良いパター」と高い評価を受けています。
フェースの傾きを表すロフト角は3度に設定されているので、インパクトしたボールはわずかに浮いてから着地をするので、芝の抵抗がかからず順回転するため「最後のひと転がり」の打感が高評価となっているようです。
【ODYSSEY】ホワイトホット・プロ ブラック #7
バックフェースにU字型の空間を持つ独特なデザインのネオマレット型パターです。
U字型の空間からボールがはみ出ないようにヘッドを引くことで、スムーズなテークバックが可能になります。
転がりの良さが実感できるロフト角3度、シャフトの傾きを表すライ角は日本人の身長にマッチする70度、ユーザーからは「方向性・打感・デザイン」の良さで高評価を得ているおすすめのパターといえます。
【ODYSSEY】ストローク ラボ 2M CS
ヘッドをセットすると、フェースの頂点であるクラウンのステンレスシルバーが際立つカラーリングとなっています。
一方でバックフェースのカラーは芝面と一体に感じるつや消しブラックで、その上に白いラインが引かれているため「3ボール」をイメージしたテークバックが可能です。
ロフト角3度のフェースで打ち出されたボールは、カップの淵で止まることなくホールに吸い込まれていくはずです
【ODYSSEY】ストロークラボ ブラックシリーズ ビッグセブン トウ・アップ
フェースの傾きを表すロフト角が5度に設定されているので、ハンドファーストに構えるゴルファーにおすすめです。
左手首を曲げず左腕とパターを一対にするイメージで構えると、グリップは中心よりも左側になって「フェースがかぶる」ことになります。
でもロフト角5度であれば、グリップを約3センチ左側にしたハンドファーストで構えても、リアル3度のロフト角で打ち出すことができるわけです。
【ODYSSEY】トリプル トラック 2-BALL
当初はヘッドの後方にゴルフボールを並べることで視覚に残像が生まれて、より簡単なテークバックが可能になるパターが作られたわけですが、ルールによって規制を受けます。
そこでルールに適合するよう白色の円を描いたのが、この2-BALLパターです。
発売当初から爆発的な人気を博したことで、毎年のようにマイナーチェンジしたモデルが登場しています。
【ODYSSEY】トリプル トラック TEN
スイートスポットの裏側に赤いライン、その両サイドには青いライン、赤青のラインが乗った白地とボールの色が重なり、フェース前に置かれたボールの残像を錯覚しスムーズなテークバックができます。
このトリプル・トラックアライメントと、シャフトの軸よりも後方にフェースをセットできるフルシャフトオフセットのお陰で、アドレスでは簡単にスクエアなセットができます。
【ODYSSEY】ホワイトホット OG #5 ストロークラボ
フェース面にボールラバーと同じ素材をインサートしているため、しっかり打ってもソフトな打感を得ることができます。
また、ソールについている2箇所のネジでウエイト調整をすることができるため、トーナメントで戦うトッププロからの信頼が厚く、特にホワイトホットOGの5種類あるヘッドの形状のうちでも、初代から続く「#5」の人気が高くなっているようです。
【PING】SIGMA2 TYNE 4 PP62グリップ 調整機能付きモデル
バックフェースの両端にガイドの役割をするブレードが付いているため、アドレスではスクエアなセットが容易になります。
またシャフトは32インチから36インチまでの範囲で長さ調整ができるため、シーズン中にアドレスの姿勢を変更しても、シャフトカットやエクステンダーの必要はなく、気軽にフォームを変えることができます。
【PING】HEPPLER PIPER C PP59グリップ
「ヘプラー」シリーズのヘッドは全部で10種類用意されていますが、そのなかで「パイパー」がマレットタイプ、「C」はセンターシャフトであることを示していて、グリップはPP59からPP62までの4種類から選ぶことができます。
センターシャフトの延長線上にスイートスポットがあるため、ミートのしやすさと操作性の良さを感じられるはずです。
【KASCO】Red9/9 Black RM-002
通称「アカパタ」と呼ばれているRed(赤)カラーのブラックバージョンは、限定1000本という稀少性と、ジュラルミンの削り出しという難易度の高い製造によって生み出された逸品です。
ロフト角わずか1.5度のヘッドにセンターシャフトですから、正しいアドレスで正確なインパクトをしなければミスに繋がるため、自然と基本のパッティングを心がけるようになるので、パターの名手を望むゴルファーにとってはおすすめの品です。
【Titleist】スコッティ・キャメロンPHANTOM X 12.5
巨匠スコッティ・キャメロンが創り出した6角形のPHANTOM Xシリーズは、高い慣性モーメントと頭頂部のセンターラインによって真っ直ぐに打ち出すことができます。
ヘッドは軽量6061エアクラフトアルミニウムを削り出しているので、軟らかい打感で納得のストロークが期待できます。
センターラインが3ドットだった人気の「12」の後続モデルとして、テークバックのしやすさが実感できるはずです。
【Titleist】スコッティ・キャメロン スペシャルセレクト ファストバック 1.5
スコッティ・キャメロンによる時代を超越したデザインは、匠の「伝統」を感じることができます。
トッププロのためのスペシャルなパターとして生まれたものなので、肉厚の薄いトップラインによってしっかりとした打感とすわり心地のよいソール、そしてパフォーマンスに細心の注意が施されて設計されているので、オーダーメイドと錯覚するほどの仕上がりとなっています。
まとめ
マレット型パターを選ぶときは、ブレード型パターに比べてヘッドの重さが実感でき、いかに「しっかりした打感」を見つけられるかがポイントになります。
その上で、削り出しによる軟らかいタッチや安心ができる慣性モーメント、もしくはテークバックのしやすさを有しているものを考慮に入れて、自分に合ったモデルを見つけるようにしましょう。